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スティーブ・ジョブズの自伝からの学び
スティーブ・ジョブズ(1955年2月24日~2011年10月5日)の56年の人生は、凄まじい一生といって過言ではありません。まず、大学院生の私生児として生を受け、すぐに養子に出されました。里親に育てられ比較的穏やかに幸せに暮らしたそうです。その親から大学教育が必要と言われ、大学進学をします。しかし大学の教育についていかず、すぐに退学しています。大学に自分の学ぶべきものがなく、型にはまった教育なんて必要ないとの理由からでした。
そして、これ以後この考えは一貫していきます。自分の学びたいものを学び、人から押しつけられたことは一切しないで独自の道を拓いていったのです。しかし、さすがのジョブズも小学生時代は方向性が分からない状況に追い込まれ、犯罪に手を染める一歩手前だったそうです。そんな時、学校の先生に助けられ道を誤らなかったといいます。子どもの頃にそのような手助けを受けたことで、のちに感謝の気持ちを込めて、パソコンを学校に寄付しています。
育ての親はとても穏やかで、ジョブズにいい影響を与えていたようです。大学を中退して、自宅のガレージで5才年上のスティーブ・ウォズニアックと、たった二人で資本金1,000ドル(現在の日本円にして約130,000円)ほどの小さな会社を設立します。ウォズニアックは電子機器の天才、ジョブズはコーディネートの天才でお互いに協力しながら会社を大きくしていきます。その働き方は尋常ではなく、今の日本の労働基準監督署の労働条件でいうと常に違反していたと思います。私も若い頃は一日16時間労働で、一年の休みが10日もなく働いたものです。それが私たちの青春の10年だったのです。
ジョブズは、コンピュータ業界の先行に目を向け、その方向に進んでいくのです。コンピュータが海のものとも山のものともわからないまま、ジョブズ一流の感によって突き進んでいくわけです。その時の言葉に「コンピュータが感動を生むのではない、コンピュータで感動を起こすのだ」とあります。私も実にその通りだと思います。物が感動を起こすのではなく、その行為が感動を起こすのです。
そして、無から有を生じていく過程で、自分一人の力ではなく色々なスタッフを集め、その能力を高めるのです。スタッフの能力を高める才能は天才的です。様々な人々とのかかわりの中で商品を提供していき、全く世の中になかったような商品を次々と提供していきます。そこには、金儲けだけでなく、世の為になるという根本的な哲学を持ち続け、一切ぶれずに商品を提供し続けるのです。
それは日本の曹洞宗の僧侶、乙川弘文氏の禅による心の大切さの影響を大きく受けているらしいのです。次々と様々な商品や作品、マッキントッシュ、iPad、iTunes、ファインディングニモ、iPhoneなどを提供し、56才の生涯を閉じるのです。
実に短い生涯の中で、世界に影響を与え、人生とは何か?生きるとは何か?死とは何か?を常につきつめて生き続けた人生です。我々にとって、人生をどう生きるか、死をどう迎えるかは大きな問いですが、一つの示唆をされています。また、物を作り出す、お金儲けをするということに、常に囚われる場合もありますが、人生の選択肢の一つも提示してくれました。
今、私はiPhoneを使っていますが、手のひらサイズで小さく薄く、キーボードなく入力し、機能は無限にあり、動作も早く素晴らしく便利です。皆さんもスマホを使って感動を呼び起こしていると思います。
ジョブズは56年の生涯で、人の無知と保守性、そして人の能力を見分け教育することで、この世に存在しない商品を作り出したのです。「できるわけが無い」で大幅に改悪され、「つくれやしない」でまた大幅に改悪。これが自らの敗北をわざわざ招き寄せるとも言っています。
人の能力を見分ける力、良い人、良い物を見分ける特別に優れた能力をジョブズは保有していました。その人間性で凄まじい人生を駆け抜けたのです。少しでも見習えたらと思う次第です。
不動産遊民
都市研究家 調(しらべ) 亮(わたる)