サンサンコーナー
Blog
トランプ米大統領について No.1
ここでしばらく都市問題から離れて、アメリカ大統領に就任したトランプ氏とその影響について、私なりの意見を述べてみたいと思います。
まず私とトランプ氏とのかかわりは、丁度今から33年前にニューヨークのトランプタワーを偶然見学したことです。実際にトランプ氏に会ったわけではないのですが、トランプタワーに行ったときの驚きは今でもよく覚えています。当時ニューヨーク、マンハッタンのど真ん中に建つ68階建てのタワーの内部は6階までが素晴らしく豪華な百貨店。6階までが吹き抜けになっており、その正面に1階まで滝のように水が流れ落ちています。壁面は淡い肌色のイタリア大理石張りでとても豪華なものでした。ショッピングする人々は、エレベーターでまず6階まで昇り、ウインドウショッピングをしながら歩いていると、いつの間にか1階まで来てしまうという動線までもが見事に設計されたもので、そのビルの外観の美しさから内部の緻密な計画迄、どれ一つをとっても素晴らしいものでした。私は不動産王国のアメリカで、このような素晴らしいビルを作ったのはどんな人だろうと思ったものでした。それがトランプ氏であったのです。
そのトランプ氏が日本人の大方の予想を裏切って第45代アメリカ大統領に就任しました。
その選挙の内容は皆様知っての通り、人種差別、白人第一主義、女性蔑視、女性問題、難民排斥その他、日本ではその一つでも犯せば政治生命が無くなるような、あらゆるタブーを乗り越えて当選したのです。この事は何を意味しているのでしょう。アメリカ国民の半分がトランプの考えに賛同しているという事なのです。
今日本のマスコミ、経済界、一般国民の風潮は、得体の知れない強面で何をしでかすか分からないというこの大統領に対して、どちらかというと否定的な見方が大勢を占めているように思われます。まず、政治的にはど素人であり、何も知らず何をしてくるか解らないという不安に駆られています。それにアメリカ第一主義を掲げ、TPPの離脱、関税に米国外の拠点を持つ企業に対する脅し、対中・台対応、あらゆる事が前例を無視して行われようとしています。
彼はお酒を飲まず殆ど仕事が趣味という仕事無趣味人間で毎日電話をかけまくる電話人間だという事です。
この事と私のトランプタワーのイメージからトランプ大統領を分析すると、私は日本のマスコミや評論家が報道しているトランプ像とは随分とかけ離れていると思います。
まず、不動産業的考え方をして物を作り上げていきます。それはあらゆる建築の法律をクリアーし、隣人との調整をし、資金を用意し、そして何よりも利益を生み出す仕組み作りにすべての能力を注いで、粘り強く事業を成し遂げていきます。彼は緻密さ、斬新さ、人の能力を生かす人を見る目、無駄を省く鋭い感性、そしてそれらを成し遂げていく実行力を備えた人間であると思います。無駄な法律を撤廃し、有効な法律を制定しどんどんアメリカ優位の体制を築き上げていきます。
これに対して我が日本はどうでしょうか?まだ法律にもなっていないのに、一言言われたら震え上がってその人の言いなりになる、という図式は、アメリカから見ると一番脅しやすい、おどかしがいのある国、それが日本なのではないかと思います。
トップに立つ王道教育を受けず、つめこみ知識のみの人づくりで育てられた政治家、儲かりさえすれば良い、アイデンティティーのかけらもない経済人、そして自分の国をお金で守っているという錯覚をしている日本人全てが、これからトランプのアメリカ第一政策にどう対抗できるのでしょうか?たぶん今の日本はアメリカトランプにとって、最も組みしやすい国ではないかと思います。
では我々はどう対処したら良いのでしょう?それは次号のお楽しみに!
都市研究家 調 亮